退職金の請求が認められるためには、原則として、退職金を支給すること及びその支給基準が退職金規程等によって定められていることが必要です。
労働関係において長年続いてきた慣行(労使慣行)は、その反復・継続によって労働契約の内容になっていると認められ、当事者を拘束する効力が認められる場合があります。退職金についても同様であり、退職金規程がなくとも、退職者に対する退職金の支給が反復・継続されたきた場合、労使慣行に基づいて退職金を支払うべきことが労働契約の内容になっているとされ、退職金の請求が認められることがあります。
ただし、裁判例は、労使慣行を根拠とする場合も、退職金規程を根拠とする場合と同様、退職金の請求が可能であるためには、「退職金を支給すること」に加え「その支給基準」が定かであることを要求しています。