有期労働契約が反復更新されて期間の定めのない契約と同視できる状態となっている場合又は契約が更新されると期待することに合理的理由がある場合、雇止めは「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」には認められません。
したがって、上記(1)(2)のいずれかに該当する可能性があるなら、雇止めを告知された場合、まずすべきことは、使用者に対し、雇止めの理由を尋ね、明らかにさせることです。
この点、労働基準法14条2項に基づき、厚生労働大臣が発した告示「有期労働契約の締結、更新および雇止めに関する基準」は、有期契約が3回以上更新されているか又は1年を超えて継続勤務している労働者について雇止めする場合、期間満了の30日前に予告すること(2条)、労働者から求めがあったときには、契約を更新しない理由について証明書を交付しなければならないものとしています(3条1項)。
3回以上の更新又は1年以上の継続勤務のいずれにも該当しない場合は予告を要求されないため、雇止めの後にはなりますが、雇止めされた労働者が要求すれば、使用者は遅滞なく雇止めの理由にかかる証明書を交付しなければなりません(3条2項)。
ところで、労働基準法15条1項、同施行規則5条は、労働契約の締結の際に書面の交付により労働者に対して明示しなければならない事項の1つとして、有期労働契約を更新する場合の基準を挙げています。
この書面に記載された更新の基準に照らして雇止めすべき事由がないとすれば、雇止めに「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」(労働契約法19条1項)ことが事実上推定されるといえるでしょう。
以上から、雇止めを告知されたら、雇止めの理由に関する証明書を請求して入手し、そこに記載された雇止めの理由が労働契約締結の際に交付された書面に記載されている更新の基準に照らして雇止めの理由となりうるものかどうかを確認することが大事だといえます。