多くの企業では、就業規則等において懲戒解雇の場合には退職金を支給しない旨の規定を設けています。しかし、非違行為により懲戒解雇された場合であっても、退職金には賃金の後払い的な性格もあるため、そのような規定があれば当然に退職金の不支給が認められるわけではありません。全額の不支給が認められるのは、非違行為が長年の勤続の功を抹消してしまうほどの著しく信義に反する行為にあたる場合に限られ、そうでない場合は、少なくとも退職金の一部の支給を要するものとされます。