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2019/01/20

不当解雇(雇止め)後の賃金と民法改正

不文の規範として「ノーワークノーペイの原則」が認められています。賃金は労務提供の対価なので、就労しなければ賃金債権は発生しないという原則です。

しかし、不当解雇(雇止め)された労働者が解雇無効となった場合には、解雇後の期間について、働いていないのに賃金請求が可能とされています。その旨定めた条文は労働基準法にも労働契約法にもありません。何が根拠でしょうか。

 

その根拠は、民法536条2項の次のような規定に求められてきました。

 

債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。

 

「労務の提供」という労働者が負う債務について、債権者、つまり使用者の責めに帰すべき事由によって履行不能となった場合、債務者、つまり労働者は、反対給付である賃金の支払いを受ける権利を失わない、つまり、賃金を請求できる、というのが同項を不当解雇(雇止め)事案に適用した場合の帰結と解釈されてきたのです。

 

この条文が平成29年の民法(債権法)改正で次のように改められました。

 

債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。

 

同じことを言っているに過ぎないようですが、「反対給付の履行を拒むことができない」との文言は、既に反対給付の債権が発生している場合に履行拒絶権を否定するものであって、反対給付の債権の発生とは関係がない、という解釈が素直であるように思えます。そう解釈するなら、同項は、もはや不当解雇(雇止め)後の賃金請求の根拠にはならないことになってしまいます。

 

しかし、改正にあたって、同項の定めるルールを変更することは意図されていません。法務省の立法担当者が執筆した文献でも、変更はない旨記載されています(筒井建夫他『一問一答・民法(債権関係)改正』229頁)。改正民法の施行(2020年4月1日)以降も、不当解雇(雇止め)後の賃金は民法536条2項によって請求可能であり、同項は、立法の過程に照らして、そのように解釈されなければなりません。

 

もっとも、法律の文言は、立法担当者の意思を離れて一人歩きすることがあります。裁判官がおかしな解釈をしないよう、注視していく必要があるでしょう。

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