解雇・雇止め・内定取消の法律相談
  • ホーム
  • ごあいさつ
  • 事務所概要
  • 弁護士費用
  • 相談申込み
  • 解雇の論点
  • 雇止めの論点
  • 懲戒解雇の論点
  • 内定取消の論点
  • 継続雇用の論点
  • バックペイの論点
  • 退職金の論点
  • 解雇・雇止め・内定取消を争う手続
  • コラム
2020/02/12

地位確認請求訴訟の管轄裁判所

解雇や雇止めを受けた労働者が地位確認を求めて会社を訴える場合、どこの裁判所に訴えることができるでしょうか。

まず、会社の本店所在地を管轄する裁判所に訴えることができます。事件の種類を問わず、一般的に被告の生活の本拠地の裁判所に管轄権が認められているところ(普通裁判籍、民訴法4条1項)、法人については「主たる事務所又は営業所」が普通裁判籍にあたるものとされているからです(同条4項)。

 

労働者甲野一郎氏が勤務先A社を被告として提訴するとき、A社の本店所在地が東京都内であるなら、甲野氏が就労していた地が北海道であれ、沖縄であれ、現在、甲野氏が青森に住んでいようと、鹿児島に住んでいようと、甲野氏は東京地裁に提訴することができます。

 

また、たとえば、甲野氏が大阪市内にある大阪支店で就労していたのだとすると、大阪地裁に提訴することも可能です。

民訴法5条に定める「独立裁判籍」の1つとして「事務所又は営業所を有する者に対する訴えでその事務所又は営業所における業務に関するもの」については「当該事務所又は営業所の所在地」が認められているからです(同法5条5号)。「業務に関する」訴えには「業務のための雇用関係に基づく請求」が含まれると解されていますので(『条解民事訴訟法〔第2版〕』91頁)、この規定に基づき、就労していた事業場が「営業所」としての実質を有するものである限り、当該事業場の所在地を管轄する裁判所に提訴することができます。

 

では、甲野氏がA社から派遣されて大阪市内にあるB社で就労しており、A社には関西に営業所がない場合には、どうでしょうか。

この場合、上記の民訴法5条5号は使えません。B社の営業所が大阪市内にあっても、甲野氏が地位確認を求める相手は雇用関係にあるA社であり、A社の「事務所又は営業所における業務に関する」訴えとはいえないからです。

 

ところで、併合請求の場合、1個の請求について管轄権があれば請求の全部について管轄が認められます(同法7条)。通常、地位確認請求訴訟では、賃金請求を併合します。そうすると、賃金請求について原告の住所地の裁判所に管轄が認められるなら、甲野氏は住所地の裁判所(大阪市に居住なら大阪地裁)に提訴することができることになります。

ですが、賃金請求について労働者の住所地を管轄する裁判所に管轄権があることを否定した裁判例があり(東高決S38.1.24下民集14巻1号58頁)(※)、この裁判例を前提とすると、賃金請求を併合しても、大阪地裁に管轄権は生じないことになってしまいます。

(※この裁判例に対する疑問は下記のコラムに記載しています。)

https://www.zangyodai-osaka.com/wage-payment-place/

 

そうだとしても、たとえば不法行為に基づく損害賠償請求を併合することができるなら、大阪地裁に提訴することが可能です。不法行為に基づく損害賠償請求であれば、義務履行地は債権者の現在の住所であることに争いはなく(民法484条)、その結果、債権者の住所地に独立裁判籍が認められるからです(民訴法5条1号)。

ただ、そうやって大阪地裁に提訴した場合、関西に営業所がないA社にとっては応訴の負担が重くなります。そのため、A社から民事訴訟法17条に基づく移送の申立て(※)がなされるかも知れません。

(※賃金請求と17条移送の関係について下記のコラムで論じています。)

https://www.zangyodai-osaka.com/17jou-isou/ 

tagPlaceholderカテゴリ:

解雇・雇止・内定取消・残業代請求のご相談(労働者側)初回45分まで無料

ご相談ご希望の方は、お電話又はフォームでご予約のうえ、影山法律事務所までご来所ください。

TEL:06-6311-2110

相談のお申込み

影山法律事務所

〒530-0047

大阪市北区西天満4丁目3番11号

梅新パークビル7階

業務時間:9:00-17:00

電話受付時間:9:00-18:00

土日祝日休業

事務所ホームページ
残業代についてはコチラ

プライバシーポリシー | サイトマップ
このサイトは弁護士影山博英が運営しています。弁護士影山博英は大阪弁護士会所属の弁護士です。
ログアウト | 編集
  • ホーム
  • ごあいさつ
  • 事務所概要
  • 弁護士費用
  • 相談申込み
  • 解雇の論点
    • 無効な解雇の承認
      • 東地判H21.1.30
      • 大地判H3.10.29
      • 東地決S32.2.7
    • 違法な解雇は不法行為となるか
      • 東地判H19.11.29
      • 大地判H18.10.26
      • 東地判H4.9.28
    • 無許可兼職(二重就職)は解雇事由となるか
      • 東地判H20.12.5
      • 名古屋地判S47.4.28
    • 試用期間中の解雇が無効となる場合
    • 労災と解雇制限
    • 長期間の経過と懲戒処分の可否
  • 雇止めの論点
    • 雇止めが無効となる要件
    • 不更新条項の効力
    • 雇止めに対する対処
    • 更新又は締結の申込み
  • 懲戒解雇の論点
    • 就業規則が有効となるための要件
      • 最判H15.10.10
    • 懲戒処分後に認識した事由に基づいて懲戒処分を有効とできるか
      • 最判H8.9.26
    • 辞職又は合意退職による退職後に懲戒解雇できるか
      • 大地判S58.6.14
    • 手続の相当性と懲戒解雇の効力
      • 東地決H23.1.21
    • 退職金没収の適法性
    • 不利な事実の不告知と経歴詐称
  • 内定取消の論点
    • 内定によって生じる法律関係
      • 最判S54.7.20
    • 内定取消しが適法となるのはどのような場合か
      • 最判S54.7.20
    • 不当な内定取消しに対して何を請求できるか
  • 継続雇用の論点
    • 雇用継続が認められる要件
    • 継続雇用の雇止めの適法性
  • バックペイの論点
    • 就労の意思の必要性
      • 東地判H9.8.26
    • 解雇中に他社で得た収入はどうなるか
  • 退職金の論点
    • 慣行による退職金請求が認められる要件
      • 東地判H7.6.12
    • 中退共退職金の返還を約する合意の効力
      • 東高判H17.5.26
    • 非違行為を理由とする退職金の不支給
      • 東高判東H15.12.11
  • 解雇・雇止め・内定取消を争う手続
    • 労働審判の手続
    • 民事訴訟(本訴)の手続
    • 仮処分の手続
    • 解決事例
      • 30代男性Aさんのケース
      • 30代男性Bさんのケース
      • 60代男性Cさんのケース
  • コラム
    • 解雇
    • 懲戒解雇
    • 内定取消
    • 雇止め
    • その他労働問題
  • トップへ戻る