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2021/10/31

退職金をめぐる、よくある誤解

退職金は、多額に及ぶこともある大事なお金ですが、一般的には、一生にそう何度も受け取るものでもありません。そのためか、基礎的な知識が必ずしも周知されておらず、誤解されている方も少なくないようです。そこで、退職金をめぐる、よくある誤解について解説したいと思います。

その1「長年勤務すれば、それなりの退職金は当然に請求できる」

これがまず、よくある誤解ですね。

退職金の支払いを裁判所で請求して認められるためには、退職金規程等によって退職金を支給すること及びその額又は計算方法が定められていることが必要です。

そのような定めがなければ、同じ会社に何年勤めようと、どれだけ会社の景気が良かろうと、裁判所は退職金の請求を認めてくれません。

 

その2「これまで退職者には退職金が出ていたから請求できる」

従前、退職金の支給が繰り返し行われてきた場合、退職金規程等の定めがなくとも、退職金支給にかかる労使慣行があることを根拠として、退職金請求が認められる可能性はあります。

 

しかし、この場合も上記のとおり退職金の額又はその計算方法を含めて慣行があると言える必要があります。すなわち、たとえ、これまでの退職者全員に退職金が支給されてきた実績があったとしても、中小企業ではありがちなことですが、その都度、社長が貢献度を評価して適当な金額を決定していたような場合、退職金の「額又はその計算方法」についての慣行があるとはいえず、結局、退職金の請求は認められないことになります。

 

その3「社長が退職金はあると言ったから/雇用契約書に"退職金あり"と記載があるから請求できる」

これも同じことですね。この場合、退職金を支給する旨の合意があるとは言えるとしても、その額又は計算方法の合意がなければ、結局、裁判所は支払いを命じるべき退職金額を計算することができず、退職金の請求は棄却されることになります。

もっとも、退職金が支給されるとの期待権を侵害した不法行為にあたるとして慰謝料を請求すれば、額の多寡はともかくとして認容される可能性はあるでしょう。

 

その4「解雇された場合、退職金は請求できない」

これがとくに強調したい誤解です。退職金規程等に退職金を支給すること及びその額又は計算方法の定めがあることが前提ですが、その場合、退職金には賃金の後払いとしての性質があります。その賃金を不支給とするためには、労働契約上の根拠が必要ですし、不支給とすることの相当性も求められます。

 

具体的には、退職金規程等に不支給事由を定める条項があり、その定めに該当することがまず必要です。そのうえで、不支給条項の適用が認められるのは、長年の勤続の功を抹消するほどの重大な背信行為があった場合に限られ、そうでない場合には退職金の一部又は全部の請求が可能とされます。

したがって、仮に解雇され、そのこと自体を争う意思がない場合であっても、退職金の請求はなお検討に値します。

 

 以上、退職金をめぐるよくある誤解について解説しました。原則、規程が無ければ請求できない退職金ですが、逆に規程があるなら、その権利は強く保護されます。規程に基づく退職金について、減額・不支給とされた場合には、弁護士に相談し、法的措置を採ってでも請求することを検討されることをお勧めします。

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